1. モンゴル編<旅日記>

1.1 はじめに

2005.08.08 22:58 「自宅にて」

先週土曜日、モンゴルから帰ってきました!
食べすぎで胃もたれはしてるんだけど、
至って元気。

モンゴル、最高に良かったー。
人生最大の旅って言ってもいいかもしれない。
雄大な自然に触れ、人の温かさに触れ、
本当に心に残る素晴らしい旅になった!

6日間、遊牧民の家族と一緒に寝食を共にさせて
もらったんだけど、最初は慣れなくて、言葉も話せないし、
戸惑うことも多かったのね。あっちの人たちも
シャイなのか、最初はちょっと距離があったし。

でも、1日1日過ごしていくうちに、
少しずつ手伝いできるようになり、
単語で会話できるようになり、
一緒に笑い合えるようになり、
家族みたいに過ごせるようになった。
子供たちとはフリスビーで毎日いっぱい遊んだ。
みんな、最高の笑顔、笑顔、笑顔。
こんなに人と心を交わした旅は本当に初めて。
別れ際は、もう大泣きでした。

あまりにも思い出が濃すぎて、
今はホームシックみたいな状態。
写真を見ては、ため息をつく。
ボーっとしてると草原を思い出す。
ああ、またすぐに戻りたい!

遊牧民の生活パターンも、食事も私は問題なくて、
(トモダチは食事でギブアップしてた)
最後、家族の人たちが、私に、
「モンゴル人みたい」
「モンゴル人の心を持ってる」
「モンゴルに残れ」
って言ってくれた。
ここで結婚相手を探してやるから、とまで(笑)。

その言葉が本当に有難かった。
違う国の人から、「同じ心を持ってる」って
言われるのは、本当にすごい賛辞だと思う。

絶対、またモンゴルに戻る。
そしてまた一緒に毎日の生活を送るんだ。
あのゲルの場所が、私の第二の故郷!

モンゴル旅風景、時間があったときにアップするね。
とりあえず今日は総括でした。

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1.2 初めてのゲル

ウランバートルから5時間くらい、
ロシア製のジープに揺られて西へ西へ進むと、
目の前に広がる、草原の中の道なき道。
でこぼこなんて関係なしに車はガンガン進むので、
カラダは右へ左へと揺れて、みんなと笑い合う。

だだっぴろい草原にチラホラとゲルが見えてきて、
とうとう、近づいてきた~!!と実感。

…してから更に2時間くらい。
まだ車は目的地に着いていなかった。。

運転手さんはこのあたりの出身で、
土地勘はあるらしいのに(ガイドさん談)、
近くにいた遊牧民に道を聞きながら、
グルグル辺りを周っても、なかなか
目的のゲルはなかなか見つからない。

うーん、これぞ遊牧民。
住所とかないもんね…。
そんなことに感心しているうちに、
ようやく目的地に到着。

そこにあったのは、ゲルではなくて、
小屋だったんだけど(雨の多い夏は小屋で生活して
いるらしい…これもガイドさん談)、
そこから民族衣装を着た夫婦っぽい2人が出てきて、
運転手さんとガイドさんと話し出した。

でもやたら話は長いし、
彼らがこっちを不審そうな顔で見ている気がしていて、
車で待っている私たちもなんだか不安になってくる。

…もしかして歓迎されてないのか?

そんなことに少しビクビクしていると、
そのうち、その小屋の中に案内されて、
出迎えの儀式の始まり。その場に円座になって、
嗅ぎタバコの交換、馬乳酒の回し飲み…。
よくわからないけど、ガイドさんに従って、
見よう見まねでやってみる。

この馬乳酒、初めて飲んだ人は必ず下るらしい。
そう聞いていたので、最初はドキドキしたけど、
ええい、ままよ!とゴクリと飲み干してみた。

うん、飲める。

これが飲めただけでも遊牧民生活が送れるような
気がしてきた。家畜から乳が取れる夏場は、
この馬乳酒を飲んで食事にするっていうし…。
1つハードルを乗り超えて、ちょっと安心。

さっきの夫婦も、歓迎してくれているよう。
(私と同じく一重だから無愛想に見えるらしい)

そんな儀式の後は、
うちらのためにゲルを建ててもらったり、
(ゲルを建てる瞬間に立ち会えるのは珍しいらしい)
羊を丸ごと解体してもらったり、
大人たちがいろいろと準備してくれる。
私たちも出来ることは少し手伝ってみるけど、
言葉も話せず、なんとも手持ち無沙汰。

そんなときに、
興味津々、でも恥ずかしそうにこっちを見ている
子供たちに笑顔を向けると、みんな笑った!
その照れた笑顔がすっごくかわいい。

一通り作業が終わった頃に、
日本から持って行ったフリスビーを出して、
子供を外に誘うと、そこからはもうみんな大はしゃぎ!
草原の中の大フリスビー大会!(以後、毎日開催)

この子たちは初めてフリスビーをやったのか、
グルグル回る不思議な円盤は明後日の方向に飛んでいく。
それを追いかける子供。笑顔、笑顔、笑顔!

子供たちの笑顔に迎えられて、
なんかやっていけるような気がしてきた。
これからゲル生活の始まりだ。

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1.3 青い青い空

ゲルで過ごす初めての夜。
寝袋に入って寝ようとすると、
同じゲルで寝てくれるお母さんが、
「寒い?」ってジェスチャーで聞いてくれた。

大丈夫大丈夫!ってOKサインを出すと、
ソーラー電池の照明を消してくれて、
ゲルの中は真っ暗になった。

初めてのゲルの夜にドキドキする。
真っ暗な暗闇の中、耳を澄ますと、
ゲルの近くにいる羊やヤギ、
番犬の鳴き声が響く。

羊やヤギは「メェ~」なんて悠長に鳴いてない。
「ブホッ!」「ブシュッ!」
まるでオ○ラのような音がそこら中からしてる。
(次の日確認したら、どうやらクシャミみたい)

3匹いる番犬は、昼間はぐーたらしてるのに、
夜になると、四方八方に広がって番をするんだって。
狼でも来てるのか、一晩中、けたたましい、
3匹の鳴き声が響いてた。

これがゲルの夜かー。
聞きなれない動物の声を聞きながら、眠りに落ちた。


…そして翌日。
お母さんがかまどで食事の用意を始めた音で
目が覚めた。ゲルの外に出てみると、
青い青い空が広がっている。

なんてキレイなんだろう。
1人で大声で叫びたい気分だった。
昨日の夕暮れも言葉を失う美しさだった。
ここに住む彼らは、この景色を当たり前のものに
思うんだろう。私たちにとっては贅沢以外の
何者でもないのに。

今日から少しずつお手伝いを始めてみる。
水汲み、薪割り、荷物運び、食器の後片付け…。
子供の頃に、親から言いつけられたら、
面倒くさい~、って思いそうな仕事なのに、
1つ1つの仕事がなんか面白い。
これらがすべて遊牧民の生活の1コマ。

そんなことしているうちに、あっという間にお昼。
昨日解体した羊のホルモンが出てきた。
お父さんがうちらの皿に大盛りに盛ってくれる。

牛・豚のホルモンは大好きだけど、
羊のホルモンなんて初めて。
食べれるかどうか心配だったけど、
一口食べてみると、うん、食べれる、おいしい。

でも周りのメンバを見ると、どうやら食が進まないみたい。
確かに日本人には食べなれない、羊の臭みはあるかも。

でも、みんながうちらが食べるのを見ているので、
おいしく食べてる様を見せたかった。
オナカいっぱいになるまで、
胃も腸も心臓も全部口に運んだ。
あらかた食べ終えると、お父さんが「よく食べたね」って
笑顔で褒めてくれた。

こういう経験をしに来たんだもの、
こうじゃなきゃステイじゃない!

==
この辺りの天気は変わりやすいらしく、
晴れてたかと思えば雨、雨と思えばまた晴れる。
今日も雨が降ってきたので、みんなでゲルに避難。

日本人が来ているのが興味深いのか、
どこからかお客さんがやってきて、
狭いゲルに15人くらいぎゅうぎゅう詰めになる。

最初はモンゴルの人同士で話をしてるんだけど、
否応なしに話題は私たちに集まってくる。
通訳してくれるガイドさんはいるものの、
みんなに何を話せばいいのかわからず、
自分の名前と、日本人であることをモンゴル語で
伝えてみる。あとお決まりの相撲(朝青龍)ネタ。

…でも話題が続くはずもなく。

しばらくの沈黙に耐え切れなくなって、
秘蔵のお土産の黒ヒゲ危機一髪を出してみることにした。
受けるかどうか自信はなかったけど、
ガイドさんに遊び方を説明してもらってゲームスタート。

刀を差す、刀を差す、刀を差す…
ふいに海賊が飛び出すと、みんなから大歓声が!
みんな、楽しんでる?!?!

お酒が大好きなモンゴル人らしく、
海賊を飛び出させた人は、馬乳酒の一気飲み。
子供だろうと大人だろうと、みんなゴクゴク。
どうしても馬乳酒が飲みたくて、刀を何度も
刺そうとする大人の人も。

黒ヒゲ、最大17人くらいで遊んだかな。
みんなみんな楽しそうに遊んでた。
あー、持ってきて良かった。自分の思いつきに感謝。

ぐるぐる黒ヒゲ回してるうちに、空がまた晴れた。
少しずつ、少しずつみんなとつながってきた気がする!

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1.4 ナーダム(お祭り)

3日目の今日は、朝4時半起き。
滞在しているゲルから3時間くらい車で行った、
ハラホリン(旧都)という町で、10年に1度の
「ナーダム」というイベントが開催されるというので、
ゲルのお父さんと運転手さんにお願いして、
連れて行ってもらうことになったの。

「ナーダム」は、モンゴル人が大切にしているお祭り。
モンゴル相撲、アーチェリー、競馬の3つの競技を
するイベントなんだけど、1番大きいのは、
7/11(革命記念日)にウランバートルで開催されるもの。
他の地方でも、色々とナーダムが開催されるんだって。

その中でも、私たちが向かったのは、
チンギス・ハーンの時代から続く、伝統的なナーダム。
それも10年に1度開催されるっていうんだから、
ものすごくラッキー!!

早起きのせいか、みんな車の中で爆睡。
私はなんか眠るのがもったいなくて、
フロントガラスからでこぼこ道や草原を見ながら、
ゲルのお父さんと運転手さんが話してる声を、
ずっと聞いてた。2人とも意気投合してるらしく、
ずっとお話してる。私も話に混じれたらいいのに!
(モンゴルの男性は集まれば、馬と相撲の話を
ずっとしてるんだって。このときもそんな話なのかも)

ナーダム会場に着いたのは8時頃。
まだ競技が開催されていないらしく、
まず先に近くにある「エルデニ・ゾー寺院」に
連れていってもらった。

この寺院は、かなり広い敷地にあるんだけど、
中にあった108つの寺院のほとんどは、モンゴルが
社会主義の頃、旧ソビエトに破壊されてしまったんだって。
残されたのは、3~4の寺院と、周りを囲む108つの仏塔。

破壊された悲しさが残っているけど、
青空の中、ひっそりと仏塔が佇む姿は、
それだけで心に迫るものがあった。
あとは信仰心の暑いモンゴルの人たちが、
デール(民族衣装)を着て、熱心にお祈りしている姿。
ここは皆の心の拠り所みたい。

ガイドさんにいろいろ説明してもらいつつ、
ゆっくり寺院を見て回ってから、再びナーダム会場へ。
そろそろ競技が開催されたみたいで、
すごい量の人・人・人!そして馬・馬・馬!
モンゴル人にとって、本当に馬は身近な乗り物
なんだよね。馬の量が半端なくて、すごい迫力。

3つのスポーツのうち、
1番盛り上がってたのはモンゴル相撲。
会場をグルリと黒い人だかりが囲んでいて、
中に入り込もうとすると、「※*◎△!」と
罵声に似た声が飛ぶ。(たぶん「邪魔だ、座れ!」と
言われている感じ)

ようやく自分たちの席を確保して、相撲観戦。
モンゴル相撲はその存在しか知らなかったんだけど、
日本の相撲とは違って、1回戦に8組くらいの
ペアが戦うらしい。今回は、128人(確か)の力士が
参加して、そこからどんどん勝ち上がる仕組みだって。
うちらが見たのは3回戦から。
その中には朝青龍のお兄ちゃんも発見!(人気らしい)

いっぺんに何箇所でも戦ってるので、
なかなか視線が定まらないんだけど、
大きな技が決まったりすると、みんなと一緒に、
「うぉぉ!」と声をあげてみたり。
技の名前とかわかり出したら、また面白いんだろうな。
モンゴル人が相撲に熱いことが改めてわかったよ。

そして競馬。
ナーダムの競馬に参加するのは5歳前後の子供たち。
そんな小さな子供たちが、30kmくらいの距離を
1人馬を飛ばして走り抜けてくるという。
さすが騎馬民族。競技内容が半端じゃない。

その馬たちがゴールしそうな時間から、
うちらもゴール付近で待っていたんだけど、
しばらく待っていると、すっごい遠くの方から砂ほこりが
起こって、小さな馬の影が見えてきた!

子供たちが泣きそうになりながら、
むやみやたらに鞭を振り回してゴール!!
あんなに小さな体で数十キロ馬で走ってくるなんて、
本当にすごい!思わずウルっと来てしまった。

 #あとアーチェリーも見たよ。
  これは、チラっと見ただけであんまり印象なし。

でも、こういうイベントの機会って、
普段忙しい遊牧民たちにとって、知り合いに会える
大事な機会なんだって。だから、
お父さんも、あっちで挨拶、こっちで挨拶。
そんな中でも付き物なのが馬乳酒。
みんなが集まればぐるりと輪になって、
みんなでお酒を飲みあい。
うちらもこういう輪の中に入れてもらえて
かなりうれしい。

モンゴル人が大好きなイベント、
それも10年に1度のイベントに参加できて、
本当に良かった!

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1.5 星空の下で泥酔

今日のモンゴルも青空がいっぱい!

朝から色々手伝いをしていたんだけど、
ふいに、お父さんから車に乗れ!って言われて、
よくわからないままに車に乗り込んだら、
10分くらい行った先のゲルにお邪魔することに。

そこはどうやら親戚のゲルみたいなんだけど、
ウランバートルに住む親戚が帰省しているらしく、
ゲルの中には人がいっぱい。子供もいっぱい。

ここの子供たちは物怖じせず好奇心いっぱい。
うちらの「指さし会話帳」で色々話しかけてくる。
うちらも片言のモンゴル語で必死に応戦。

デジカメを出すと、
カメラに自分たちの画像が映るのが楽しいらしく、
「撮って撮って!」「撮らせて撮らせて!」の大応酬。
ほんと元気。そして笑顔がほんと純粋。

そして人が集まれば、定番の馬乳酒回し飲み。
ウォッカも何杯か飲んで、昼間からちょっといい気分。
なんて幸せなんだろう(笑)。

こうして他のゲルに遊びに行ったと思ったら、
夕方には、今度、うちのゲルにもお客様。
(昨日のナーダムに出てたモンゴル相撲力士も来た)
夏休み中のせい?本当にお客様さんが多い。
そしてお決まりの馬乳酒。ほんと飲んでばっか。。

うちのゲルに来たお客さんが、
「ヤギの解体するから遊びに来いよ!」なんて
誘ってくれたらしく、夜22時頃から遊びに行くことに。
3体のヤギ&羊の解体を見た後は星空の下の大宴会。

ウォッカ、馬乳酒、ウォッカ、馬乳酒・・・
何杯飲まされたことだろう?
ウォッカだけでも6杯は回ってきたぞ。
さすがに酒の強い4人組も、かなりの酔っ払いぷり。
外国でこんなに飲んだの初めて・・・っていうか、
ウォッカなんて普通、原液で飲まないし・・・。
全然酔わないモンゴル人の皆がすごい。

でも本当に満点の星空が素晴らしくて、
そんな中、現地の人とこうやって交流できたのは、
本当にいい機会だった。お互いの国歌を交換したり。
星空が素晴らしいので、うれしくて、
草原を駆け出したりしたよ。(酔っ払ってて転んだけど)

次の朝に確認したら、
他のメンバの記憶が結構抜けてたり、二日酔いが
ひどかったりと大変だったんだけどね(苦笑)。
私は全然マシだったんだけど、
その理由は、現地の人いわく、飲み会のシメに出された
ヤギ汁を飲んだからだって。(二日酔い防止に良いんだと)

でもこのヤギ汁飲みながら、ハイテンションで、
「ワタシ、ニホンジン、マラルマ(=モンゴルネーム)デス」
っていろんな人に語りかけてた気がするよ。
変に浮かれてるのがどうも恥ずかしい・・・。

何にせよ、いろんな人に出会えてうれしいよ。
最高の夜でした。

そうだ、写真の夕焼けすごいでしょう。
ほんと、毎日がこんな素晴らしい風景と一緒だったよ。

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1.6 ちょっとオツカレ

今朝も相変わらずの青空!
昨晩、あんなに飲みすぎたというのに、
いつもの7時半にかっちりお目覚め。
うん、気持ち悪さもなくスッキリ。
他のみんなはまだ昏々と寝ているのかな…。

朝早くから働き出すお母さんたちと、
子牛を追ったり、水を汲みに行ったりしてたら、
メンバ2人がお酒で調子を悪くしたらしい、って
身振り手振りで教えてくれた。
(ジェスチャーは想像にお任せ…)

心配して様子を見に行ってみると、
私と同じゲルに寝ているアリマー(→モンゴル名)は、
ウォッカのせいか胃痛がひどいと起きれない状態。
隣のゲルにいるユンチマーは昨夜、朦朧とした状態で
転倒してしまい、目の周辺を強打したらしく、
お岩さんみたいにひどく腫れている。

やばい。

このゲル滞在の後には砂漠ツアーも待っているし、
何よりもゲル滞在がクライマックスに近づいているので、
なんとか回復するよう願う。今日は一日安静だ。
ああ、何より恐ろしいウォッカ回し飲み…。

そんな中、もう1人の生き残り・ミチツマーと
元気にフリスビーしていたら、昨日遊びに行った
ゲルの子供たちが今度はこっちに遊びに来た。
次々と新しいメンバが加わり、フリスビーの輪が
どんどん大きくなってくる。1人抜けては、
また別のメンバが加わり…って感じで、
なかなかゲームは終わらない。

「疲れた」とも「休憩」とも単語を覚えていなくて、
やめることも出来ず、ひたすらフリスビーを追う私たち…。
毎日いつになく動き回ってるので、そろそろ
筋肉疲労が大きくなってきた(情けない…)。

==
その後は薪拾い。
少し行ったところに枯木が生えている所があって、
そこでカゴいっぱいに薪を折って詰めていく。
これは女性の仕事なんだけど、本当に重労働。
後から計算すると、このいっぱいの薪も、
たった2日くらいしか持たないみたいなので、
この仕事を2日おきにしなきゃいけないのかも。
ホント、頭が下がる思いがする。

薪拾いが終わってゲルで休んでいると、
隣のゲルのお母さんがやってきて、
肩が痛そうなそぶりをしていたので、
ここはタイ・マッサージの修行を積んだ私の出番!と
思って、首から腰までずっとマッサージしてあげた。

びっくりするほど、首が冷たく、硬い。
毎日の重労働が、こんな風にさせてるのか…と思うと
少し胸が痛かった。私たちが滞在している間、
少しでも助けてあげよう。

そんなゲル生活も残るはあと2日。

#青空床屋。

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1.7 最後の夜、最後の宴会

6泊7日のゲル滞在。
結構、たっぷり時間があるなぁ、と思っていたけど、
あっという間に、残すは1日半。

この温かい場所を離れるっていう実感が、
じわじわ胸に押し寄せてきてしまい、
今朝の夢に、子供たちの笑顔が出てきたのもあり、
朝起きて、寝袋の中で涙してしまった。

私はこういう別れが苦手。
自分で選んだ出会いだけに別れは必然なんだけど、
言い様のない悲しさに囚われてしまう。
でも今日1日は楽しく過ごさなくては!と思い、
朝食の準備を始めたお母さんに、笑顔で
「サェハン アマルサノー(おはよう)」と挨拶した。
いつものお母さんの笑顔がうれしい。

今日はいつになくのんびりした1日だった。
そんな中、うちのゲルの長男坊(スクワット)が、
「馬に乗ろう!」と誘ってくれたので、
彼に馬を引いてもらったり、同乗してもらったりして、
みんなで草原を馬乗りを楽しむ。
2日目くらいにちょこっと乗ったことはあったんだけど、
今日はいつもよりハイペースで馬を走らせるので、
ちょっとドキドキ。スクワットは13歳とは思えない
小さなカラダをしてるのに、馬に乗ってると、
本当に頼もしく、カッコよい。

馬乗りの後は、次男坊(スンドゥ)と一緒に色々遊ぶ。
いつものフリスビー、ハンカチ落とし(←友人が教えた)に
加えて、モンゴル相撲、日本相撲・・・ほんとワンパク坊主だ。
お姉ちゃんたちの体力がついていけない(笑)。

ゲルの前で相撲をとってたら、お母さんが参戦!
日頃の重労働のたまものか、ちっともびくともしない。
私とミチツマーが挑戦し、2人とも惨敗。母は強し。。

ほんと、こんな感じの毎日だった。
青空の下で、全身で遊び、笑い、
何気なく過ごすうちに1日が終わっていった。
日本に帰ったら、こんなにゆったりした気持ちで
毎日を過ごすことはたぶん出来ないだろう。
素晴らしい自然と、人の温かさに触れて、
かけがえのない6日間を過ごすことが出来たね。
本当にうれしい。

==
今日の夜は、最後の夜というだけあって、
うちのゲルの家族がみんな集まってくれた。
ぽつりぽつり会話はするけど、少ししんみりモード。
ちょうどガイドさんも来ていて、家族と少し話すと、

「スンドゥの足が馬に蹴られて、そのケガが
治らないらしいんです。何か良い日本の薬を
持っていませんか?」

と通訳してくれた。

患部を見せてもらうと、もう腫れはひいていて、
膿んだようなケガが残っている。見た限り、
あまり良い衛生状態じゃない。

アリマーと2人で自分たちが持っていた薬を
かき集めて家族に渡した。マキロン、絆創膏、
シップ・・・私たちにとってはなんともない薬が、
彼らにとっては非常に貴重なものに違いない。

お土産はおもちゃばかり持ってきていて、
こういうところに気が回っていなかった。
遊牧民の生活は素晴らしいものだと思うけど、
その影で、こういう困難が常につきまとっている。
あんなに元気いっぱいに動いていたのに、
今、消毒の痛みを我慢するスンドゥを見ているだけで、
なんとも言えない悲しみがこみ上げてくる。

私たちに出来ることはこういうサポートなんだ。

当たり前のことにようやく気がついた。
日本に帰ったら、小さくてもいいから、
自分に出来る手助けをしようと心に決めた。

==
そんな時間を過ごしているうちに、就寝の時間。
いつものソーラー電池のかすかな照明で
日記を書いていたんだけど、振り返れば振り返るほど、
涙が止まらなくなってきた。

隣では、お母さんが寝る準備をせっせとしていて、
毎日見ていたこの光景が最後になることが、また悲しい。
でもお母さんに涙をまだ見せたくない。
そんなときに、アリマーが「星空見ながら泣いてきたら?」と
促してくれたので、真っ暗な外に出てみた。

本当にキレイな星空だった。

星空に包み込まれるように、半分嗚咽しながら涙した。
この旅に来て、本当に良かった。
みんなに出会えて、本当に良かった。
出来ることなら、もう少しここにいたい・・・そう思いながら、
星に優しく見守られて、悲しみに浸る。

・・・そんなとき。
隣のゲルから、ミチツマー@完全酔っ払いモードが、
「マラルマァ~、飲もうよ~、宴会だよぅ~」っていきなり登場。
おいおい、この名シーンにあんた・・・と思いつつも、
隣のゲルのお父さんと飲んでるから、というので
涙をぬぐって宴会に参戦してみた。

宴会と言えば・・・やっぱり定番のウォッカが登場。
この前の生き残り組が回し飲みをリード。(←懲りてない)
飲んでるうちに、2つのゲルの大人がみんな集まってくれて、
最後の夜、最後の宴会がスタート!

みんなに囲まれて、本当に有り難かった。
お酒飲んで、くだらないことで大笑いして、歌を歌って・・・。
そして時折、運転手さんが、「マラルマ、お前はここに残れ!」と
熱く演説する。お前はモンゴル人の心を持っている、
結婚相手は探してやるから、ここに残れ、と。

その一言がすごいうれしかった。
ここの暮らしに少しでも溶け込みたかったから、
手伝いも率先してやったし、言葉も出来る限り覚えようとした。
モンゴルでは、ごはん2膳食べることが、お客さんが喜んでいる証だと
聞いていたのもあり、オナカいっぱいでも食べるようにした。
そんな小さなことが、こうして認められたのかもしれない。

「またここに戻ってくる!」
みんなに伝えてもらった。

もう1時も過ぎたので、宴会はもうお開き。
真っ暗の中、お母さんと腕組みながら野外トイレに向かう。
組んだ腕がすごく温かい。

きっと今日もみんなの夢を見そう。
そう思いながら床についた。

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1.8 別れの朝

昨日、飲みすぎたせいか、
夜も明けないうちに目が覚めた。
もう少し、朝まで眠ろうと思っても、
今日が最後だとわかっているので、
なんだか眠れない。変な寝覚めだ。

起きてしまったら、それが最後。
真っ暗なゲルの中で呆然としてしまう。
それだけ、この生活が、自分の中の、
深いところに染み込んでいる気がする。
ぐるぐる考えているうちに、そのまま朝が来た。

今日は珍しく朝から雨が降っていた。
小雨の中、お母さんが水を汲みに行くのを見て、
ガバっと起きて、走って追いかけいく。
水を満タンに詰めたタンクを持とうとすると、
お母さんが「重いから…」と言って、
自分で持とうとする。そこを無理やり、
「ズゲールズゲール(大丈夫、大丈夫)!」と
言って、タンクを持った。

この「ズゲール」っていう言葉を、
滞在中に私は何度も口にした。
「寒い?」「重い?」「二日酔いは?」
そう聞かれる度に、口癖のように繰り返した。
しょっちゅう私がこの言葉を使うので、
お母さんは「ズゲール・マラルマ」と私を呼び、
そして2人で大笑いしてた言葉。

でもさっきの「ズゲール」はほとんど言葉にならなかった。
こうやって手伝うのが最後だとわかっているので、
悲しみがこみあげ、涙声になってしまった。

雨が降ってて良かった。この涙を隠して。
それから何もしゃべらず、ゲルまで戻った。

朝ごはんを食べているときに、スクワットや
スンディがゲルに顔を出した。うちらが発つせいか、
2人にいつもの笑顔が消えている。
そんな顔を見たら、悲しくならないはずがない。
ゴハンをかきこみながら、一生懸命、涙を抑えた。
どうあがいても、今日が最終日。

==
悲しみの気持ちをおさえながら旅支度を終えると、
ガイドさんに小屋に集まるように促された。
なんだろう?と思って小屋で待っていると、
家族のみんなが集まってきた。
どうやら送別会を開いてくれるらしい。

歓迎会のときと同じように、
嗅ぎタバコの交換をし、
馬乳酒、ウォッカを回し飲む。
これがモンゴル式の送別会。
お父さんやおじいちゃん、いろんな人たちが、
私たちに送別の言葉を送ってくれる。

「こうやって、何もわからない遊牧民の生活に
飛び込んできて、その精神に尊敬を感じる」
「私たちはただ日常を送っていただけだけど、
一緒に生活して楽しかった」

4人全員、こうして見送ってもらうだけで、
もうボロ泣き。感謝の言葉を伝えようにも
泣きじゃくっていて、まともなことも言えない。

本当にありがとう。
また、絶対戻ってくるから!
何よりも伝えたいのは、この言葉。

涙が止まらない私たちを励ますためか、
子供たちが「外に出よう!」って誘ってくれた。
ジェスチャーで「写真を撮ろう!」って言って、
いろんなメンバ、ポーズで写真を撮りまくる。
さっきまで暗い顔していた子供たちも、
ここぞとばかり、思い切りの笑顔をこぼす。
その笑顔に本当に救われた。

そのうち、大人も小屋から出てきて、
みんなでフリスビーをしよう!ってことに。
おばあちゃんも輪に入って15人くらいの大きな輪ができる。
みんなで名前を呼び合いながら、円盤を回す。
フリスビーが変な方向に飛べば、みんなで大笑い。

幸せな、幸せな時間だった。
でもそんな時間は長くは続かない。
出発の時間だ。

モンゴル式の別れの挨拶で、
おばあちゃんから飴をもらい、片頬にキスをもらう。
それに続いて、年長の人から年下の人にキスを送る。
「バイラルラ!(ありがとう)」
「バヤルタエ!(さようなら)」
涙ながらにお礼と別れの挨拶を繰り返す。

ロシア製のジープにまた乗り込んで、
大きく手を振りながら、ゲルを後にした。
車の中で、4人は嗚咽しながら泣いている。
つらい、つらい、つらい。

涙ながらにふっと窓の外を見ると、
スクワットとスンディが馬に乗って車を追ってきた!
なんてうれしい光景、そして悲しい光景。
2人の温かい見送りに、なんとか感謝の意を表したくて、
親指を立てると(モンゴルでも「最高!」の意)
2人も満面の笑顔で親指をつきだした。

スピードを落とした車を2頭の馬は追い越して、
遠く、遠くの方へ行ってしまった。
きっとこれから牧場で放牧をしにいくんだろう。
忙しいのに、うちらを見送るために
小屋に来てくれたんだよね。ありがとう。

そしてジープには、お父さんが同乗してくれていた。
泣きじゃくっていて、何故かわからなかったけど、
道の途中にバイクが置いてあって、そこで
お父さんが降りる。そのときになって初めて、
これがお父さんの最後のお見送りだったと知る。

忙しいお父さん、
うちらのために、途中までバイクを運んでくれたんだ。

そんな温かさにまた触れてしまい、
涙はとめどなく流れていく。
お父さんからも片頬にキスをもらう。
本当に本当にこれが最後。

モンゴルの別れの挨拶は、
別れ際、片頬にキスをして、
次に出会ったときに、逆の頬にキスをする。

またもう一方の頬にキスをしてもらえるよう、
絶対ここに戻ってくるから!
泣きつかれて、眠りについてしまった。

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1.9 ゴビ砂漠~帰国

悲しみの4人を乗せて、
車は2泊3日のゴビ砂漠ツアーへ。

送別会のウォッカと、涙のせいで、
車に揺られながら、すっかり眠り込む。
起きてしまうと、色々思い出してしまうので、
眠りの世界に逃避していたのかも。

草原の中、道なき道をがんがん進む車が、
ふいに止まった。急にカラダの揺れが止まり、
ハッと目を覚ました。

う、右後ろのタイヤがぬかるみにハマってる。。

男手は運転手さんだけ。女性5人で加勢して、
精一杯、後ろから車を押してもビクともしない。
まるで作り話のよう。

私たちだけでは策が尽きてしまい、
運転手さんが近くのゲルに助けを呼びに行くことに。
辛うじて、遠くにゲルが小さく見えている。

残されたうちらに出来ることはない。
がんがん日が照る草原で、帽子を顔にのせて、
しばし、眠ることとした。

2時間くらい経った頃、ハっと起きると、
助けのジープがようやく来ていた。
引っ張ってもらい、ようやくぬかるみから脱出!!
こうやって助け合うのが遊牧民の精神。
ありがたい、ありがたい。
無事、再出発できるようになった。

ただ、ここのところ、雨が多かったらしく、
砂漠の方面はぬかるんでるらしい。
ガソリンの量は限られているし、
飛行機に乗れるように帰れないと困る。
本格的な砂漠に向かうのをあきらめるしかない。

ここから2日間、車はひたすら草原を走り続けた。
かすかな轍を頼りに、道なき道を行き、
途中、小さな砂漠を探検したりしながら、
ひたすら草原を走った。そして夜はテント生活。

どの方角に向かっても、ゲルは点在していて、
途中、出会った遊牧民の人たちに道を聞きながら、
車はウランバートルの方角へ向かう。

本格的な砂漠に出会えず、残念だったけど、
この2日間のおかげで、みんなと別れた悲しみから
少しずつ復活できたように思う。きっと皆もそう。
途中、みんなで思い出話をしては、また涙しそうに
なったり、笑いあったりして。

このメンバにも、ほんと感謝の気持ちでいっぱい。
思いつきで集まった、不思議な4人組。

こうしてテント生活も終わり、
ウランバートルに戻ってきた。

もうだだっぴろい草原はそこにはなく、
密集する家々、垢抜けた服を着る町の人々、
火力発電所から出る煙、粉塵の舞い上がる道路、
あのゲルの場所と同じモンゴルとは思えない。

あーーーーーー、帰りたい。
まだ2日しか経ってないのに、
強烈にあの場所が懐かしくなってくる。

翌日、飛び立った飛行機の窓から
遠くに見える草原に、彼らの姿を思い巡らせて、
必ず、ここに戻って来ようって心で何度も繰り返した。
すべての出会いにありがとう。

モンゴルが、私の第二の故郷。
また皆に会いに行こう。

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